怪しい 科学の世界

入門編

最終更新日 1999年4月12日


はじめに

世の中には色々な人がいるもんです。中にはこちらが恥ずかしくなる くらい「あちゃー」な人もいます。ところが最近は、フツーの人と イッテる人の境界がかなり怪しくなってきてます。このページは 学生の皆さんがそういう世界に行ってしまわないように、との願いを こめて作りました。

「怪しい科学の世界」は 【入門編】【応用編】【終了試験】 の3部構成です。

入門編の参考書

「トンデモ本の世界」 洋泉社
「トンデモ本の逆襲」 洋泉社


入門編

入門編では主に科学に関して、どういうトンデモナイ主張をする人がいるかを 書きます。

上にあげた参考書はそういうトンデモナイ人々が書いた本を(本人の 意図に反して)笑ってしまおうという趣旨で書かれてます。 驚いたことに、このトンデモナイ人々の中には「笑われていることに すら気がつかない?」と思われる人もいるようです(「トンデモ本の 逆襲」参照)。これを読んで面白そうだと思ったら、買って読んでみましょう。

間違っても、似たようなタイトルの 「徳間書店から出ている本」を買っては いけません。

よくある主張その1
★アインシュタインは間違っている

この主張の多くは、「相対論なんか必要ない」ということに尽きます。 けれど、こういうことを言う人は実は相対論について全然知らない人が 大部分です。相対論には特殊相対論と一般相対論の2つがあるということも 知らないようです(彼らは主に特殊相対論を目のカタキにしています)。 相対論の教科書に出てくる数式は理解できないけれど、 (初心者向けの)解説書によれば時間が伸び縮みすると書いてある、 そんなことがあるはずがない、俺は経験してないぞ、というのが 主張の根拠です。

「うーむ、こんな根拠で主張されるとは、科学者はあまりにかわいそう」
四則(足し算・引き算・掛け算・割り算)しか知らない 小学生に、微分積分なんて変だ、日常生活ではいらないのに、 と言われるようなもんです(微積分は知りませんか? だったらベクトルでも 三角関数でもいいです)。でも、本当は相対論に出てくる数式は 四則とルートぐらいしかないので、高校ぐらいの数学と物理の知識があれば 誰でも理解できるんですけどね。
この(低レベルの)アインシュタイン批判をする人の特徴は、 初心者向けの解説書「だけ」読んで、そこに書いてあること「だけ」が 証拠だと勘違いしている、ことでしょう。上の小学生にはあなたは何と 言いますか? 僕は「もっと勉強してから出直してこい」ですけど。

相対論の解説を置いておきます。 特殊相対論のその後について書いてあります。別に知りたくない人は とばして下さい。

上の解説を見ればわかりますが、多くのアブナイ人が目の敵にしている 特殊相対論は、厳密には正しくないことが証明されています。念のために、 アインシュタインが特殊相対論を発表したのが約90年前、「より正しい」 一般相対論は約70年前に、彼自身によって作られています。
さらに現在では、大部分の科学者は一般相対性理論も厳密には正しくない、と 考えています。今のところ、正しい理論は量子論(リョウシロンってなんだ? というのはまた別の機会に)の形式で書かれるはずだと考えられていますが、 一般相対論はそうなっていません。だから、一般相対論を含むような量子論が あるに違いない、と思っていろいろ四苦八苦しているのが現状です。

よくある主張その2
★世の中には科学で解明できないことがある

これはその通りです。けれど、「だから科学は信用できない」とはなりませんよ。 どこまでは正しくて、どこから先はわからない、ということがはっきり 区別できるのが科学の特徴です。

科学には正しい理論とそうでない理論を区別する方法が確立しています。

  1. これまでに知られていることが、その理論で説明できなければなりません。
    当たり前ですね。でなければ何のための理論なんだか。
  2. 理論は予言能力がなければなりません。
    予言というのは、その理論に従えばいついつどうなる、ということを 導くことです。
  3. その予言は実験や観測で正しいかどうか確認できます。
    確認できる予言を出せない理論は良い理論ではありません。
  4. 実験や観測は、いつ誰がやってもほぼ同じ結果がでなければなりません。
    食い違った場合には、確定した結果が得られるまで実験が続けられます。
  5. 以上の方法でその理論が正しいかどうか決定できます。
    いかなる理論も実験で否定されればゴミ箱行きです。
  6. 2つの理論があって、違う予言をした場合には(1−4)の手順でどちらが 正しいか決定します。
  7. 同じ予言をする2つの理論があると、研究者はどこか違いがないかもっと 調べます。いくら調べてもまったく同じ場合は、実は2つは形は違っても 等価、つまり同じものを角度を変えて見ているだけ、ということになることが 多いようです。

では、ニュートンの理論(ニュートン力学と万有引力の法則)について 見てみましょう。

  1. それまでに知られていた事実(惑星の運動とか)をすべて説明できました。
  2. 「土星の動きから、さらに外側に惑星がなければならない」と予言しました。
    ハレー彗星がいついつ戻ってくるという予言もありました。
  3. この予言は実際に天王星が発見されて確認されました。
    ハレー彗星は予言通り出現しました。
  4. 月の運動、惑星の運動も予言通りでした。
    これでニュートンが正しいと当時の人々は信じました。でも19世紀末になると
  5. 光の性質については予言と食い違いました。
    水星の運動(近日点移動という現象)も予言と食い違いました。
    この時点で別の理論(ニュートンの理論を含む、より大きな理論)探しが 始まります。
  6. (5)の前半は特殊相対論に、後半は一般相対論によって取って代わられました。

次は、相対論(特殊&一般)について見てみると

  1. 相対論はそれまでに知られていた事実をすべて説明できました。
  2. 相対論は「質量とエネルギーが等価である」と予言しました。
    (これ以外にもたくさんの予言があります)
  3. この予言は原子力によって確認されました。
    (その他の予言もすべて確認されました)
  4. 追試は世界中の研究者によって何百回?(非常にたくさん、ということ) もされ、すべて同じでした。
    (間接的に関係ある実験も含めれば、何百万回にもなるかも)
  5. 相対論に匹敵する予言をした理論は他にはありません。
    相対論に反する実験事実もまだありません。ですから、今のところ 相対論は「正しい」理論です。
が、研究者はそれは技術が未熟なせいで、いずれは正しくないことが示せる 実験ができるはずだと思っています。その実験は量子論が一枚かんでいる 実験になるはずです。けれど、相対論は大部分の実験で正しい答えを出すので、 それを乗り越える「より正しい」理論は、「相対論(と量子論)を含むより 大きな理論」になると多くの研究者が考えています。超弦理論 (スーパーストリング)もその候補の一つです。 現状はこんなところでしょうか。

よくある主張その2 [★世の中には科学で解明できないことがある] には たいてい続きがあって、それは

★だから、超能力は存在する
★しかし、私の理論(あるいは宗教)は全宇宙を解明した
となることが多いようです(うーむ、このへんの飛躍がスゴイですねえ)。
皆さんはこういう主張を聞いた時には、これに当てはまっているかどうか 考えて見ましょう。

よくある主張その3
★UFOは存在する

正しい意味でなら、「存在するに決まってます」。UFOは Unidentified Flying Object(未確認飛行物体)です。空を飛ぶものの 正体がぜーんぶ確認済みなはずがありません。

という冗談は置いといて、
日本では「UFO=宇宙人の乗る空飛ぶ円盤」なのでその意味で言うと、 「UFOが存在する証拠はない」でしょう。
この主張は「よくある主張その2」と通じるものがあります。 UFOの証拠写真を分析したら、5%はそれが何か解明できなかった、 というのが結構根拠になってたりします。その5%が空飛ぶ円盤だった、 と解明されたのではないことに注意しましょう。どこで誰が撮ったか わからない写真に写っている物が何か、を調べることがどれくらい 面倒で難しいかは想像できますよね。にもかかわらず95%は解明された、 ということに注意しましょう。「解明」というのは、「その写真に 写っているのは金星である」とか、「それはどこそこで打ち上げられた 気球である」とか、のように正体がわかったことを意味します。 残った5%は正体がわからないだけで、合理的な説明がないことを 意味するのではありません。有名な「火の玉教授」に言わせれば 「すべてプラズマで説明できる」そうですから。 (^_^)
(火の玉教授はスパゲッティのCMにも出てますが、ただの変なオジサンでは なくて、ちゃんとした物理の本の監修もしてる、まあまともな研究者ですよ) (僕は「ふしぎ発見教授」よりは評価してます)

内緒の話ですが(ウソ)、僕は 他の星から訪問者が来て欲しい、と 思っています。それが真実ならば、我々もやがて遠くの星まで旅行できる可能性が あるからです(それまでに人間が滅んでいなければ)。それは、我々がまだ 見つけていない新しい物理、新しい科学があるということを意味します (んー、 STAR TREK な世界でしょ)。 物理と矛盾しないで遠くまで宇宙旅行をするためには、宇宙の時空構造を変えるような ことができなければなりません。他の星からの来訪者は 「空飛ぶ円盤のようなチャチな乗り物ではない」 宇宙船に乗っているはずです。だから、世間で言われている 「 UFO なんか 100% ウソッパチ!」 と 確信しています。
文句があるならかかってこい。(^_^)
UFO写真を解明する点に関しては
「世界はこうしてだまされた」 悠飛社
が参考になります。確か「続編」もあります。この本を読むとUFO写真を 探す・撮る・でっち上げる・その他に比べて、その正体を解明することがいかに 大変かがわかります。このあたりに関しては、トンデモ・シリーズ続編の
「トンデモ超常現象99の真相」 洋泉社
も参考になります。

以下はUFO写真に関する私の意見です。
(実は「矢追純一UFO特番」は好きな番組の一つなので、以下はそれらを 見てきた経験からの意見です)

UFO写真に写っているものリスト

★星
金星・木星(金星は特にピカッと明るい)
今は亡き逸見さんの番組(知っている人は知っている)は悲惨でしたねえ。
★飛行機
地平線の近くに見えるものは可能性が高い
夜、星を見ているとわかりますが、飛行機はたくさん飛んでますよ。 ライトがチカチカしない場合もあります。「UFOを呼び出す」と称する インチキ超能力者の場合はこれが多い。
★人工衛星
星が動いているように見えます。ゆっくり動くので流れ星とは 全然違います。意外に夜遅くまで見えることがあります。
★ホタル
フラフラ動いているUFOの写真には、意外とこれが多そうな 気がします。都会育ちの僕は、夏に田舎に行ったりして蛍を見ると、
「ん? 火の粉?」と思ったりします。
★流れ星、鳥、雷、など
雷の一種の「球電」というのが有名らしいです。一度は見てみたい ですね。
★火の玉 (^_^)
大槻教授で有名なあの、「火の玉」も自然現象の一つでしょう。 昔の「人魂」(つまり魂と考えられていたヤツね)の正体「かも」 しれません。僕は不幸にして見たことがありません。

わたしのUFO目撃談・心霊体験談 を知りたい人はこちらへどうぞ。
(80kBのGIF animation付き)


次は応用編です